闘牛と聞くと、スペインを連想することが多いと思います。その闘牛、日本でも開催されているのをご存じですか?5月4日、新潟県旧山古志村で開催された初場所を見てきたので、レビューしたいと思います。
大迫力の牛同士の取組
ゴツン、ゴツン。1トンを超える牛の頭がぶつかり合う低くて鈍い音が観客席まで届きます。前足で土を蹴り上げ、じりじりと前進。角を上手に使って、相手の頭を持ち上げて攻め込む。気迫の取り組みは、大相撲を思わせます。
国指定重要無形民俗文化財の山古志の闘牛は、「牛の角突き」と呼ばれており、この地域の人々の娯楽として根付いてきました。歴史は古く、千年前から行われているといわれています。この地域では昔から、荷物の運搬や農業の担い手として牛を飼育し、生活に密着した存在でした。
新潟の特徴は、牛が傷つかないよう引き分けにすることです。
この日の最初は、初出場となる3歳同士の取り組みでした。取り組みごとに牛の紹介がされ、試合中も技などについて実況解説が勢子の男性によって行われます。この男性によると、牛の3歳とは「小学校高学年から中学校くらい」とのこと。
見ていても、牛同士がおっかなびっくりしているような、かわいらしい取り組みでした。実況を聞いていると、この地域の人にとって牛がどんなに大切に育てられてきたかが伝わってきました。
人間と牛の駆け引きも見もの
だんだんと年齢が上の場慣れした牛たちが、登場してきます。若い牛の取り組みでは牛に綱を付けて行われますが、ベテランの牛になると綱は外されます。大勢の勢子と呼ばれる牛を取り囲み、かけ声をかけて勝負を見守ります。
牛は鼻の穴に指を入れられ、綱を付けられると静かになります。そのために勢子たちは、後ろ足に縄をかけて2頭を引き離します。この勢子たちが、牛を引き離す様子も角突きの見どころのひとつです。
大人の男性5人ががりで引っ張ってもびくともしない牛もいますが、そこは勢子の腕の見せ所。取り組みよりも、牛と勢子たちのやりとりのほうが見応えがあることもあります。
戦いを終えた牛は場内を回って、観客から拍手を受けます。今回私が見たときは、飼い主のおばあさんの近くに連れて行かれて、額をなでてもらったりしていました。
ちなみに、取り組み前の牛たちは闘牛場の周りに綱でつながれて待機しています。少し近づいて、観察することもできますよ。
山古志の牛の角付き 基本情報
闘牛は日本では新潟県のほか、岩手、島根、愛媛、鹿児島、沖縄などで行われています。2019年の山古志の角突きは5月4日にスタートし、11月3日まで計13回行われます。
午前10時会場、午後1時取り組み開始(雨天決行)。終了は午後3時くらいです。料金は2,000円(高校生以上)。当日闘牛場の入り口でチケットを購入します。また、全国のコンビニでも買うことができるそうです。駐車場は450台完備。小千谷ICから車で約25分です。
山古志は2004年の中越地震で最大震度7を記録し、大きな被害を受けたエリアです。一時は全村避難となり、牛たちもヘリコプターで運び出されたり、山道を何日もかけて歩いて避難させました。
今の闘牛場は、2009年にオープンしました。
今では標高300メートルほどの闘牛場から、棚田などののどかな風景を楽しめるまでに復興してきています。
n都会の喧噪を離れて、牛たちの勇姿と山々の緑を眺めに山古志に行ってみませんか。
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